松山市議会 > 2018-02-26 >
02月26日-02号

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  1. 松山市議会 2018-02-26
    02月26日-02号


    取得元: 松山市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-07
    平成30年 3月定例会                 平成30年          松山市議会第1回定例会会議録 第2号          ──────────────────             平成30年2月26日(月曜日)             ───────────── 議事日程 第2号   2月26日(月曜日)午前10時開議日程第1 会議録署名議員の指名日程第2 議案第1号 平成29年度松山市一般会計補正予算(第8号) 議案第2号 平成29年度松山市介護保険事業特別会計補正予算(第3号) 議案第3号 平成29年度松山市駐車場事業特別会計補正予算(第1号) 議案第4号 平成29年度松山市道後温泉事業特別会計補正予算(第1号) 議案第5号 平成30年度松山市一般会計予算 議案第6号 平成30年度松山市競輪事業特別会計予算 議案第7号 平成30年度松山市国民健康保険事業勘定特別会計予算 議案第8号 平成30年度松山市介護保険事業特別会計予算 議案第9号 平成30年度松山市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算 議案第10号 平成30年度松山市駐車場事業特別会計予算 議案第11号 平成30年度松山市道後温泉事業特別会計予算 議案第12号 平成30年度松山市卸売市場事業特別会計予算 議案第13号 平成30年度松山市勤労者福祉サービスセンター事業特別会計予算 議案第14号 平成30年度松山市鹿島観光事業特別会計予算 議案第15号 平成30年度松山市小規模下水道事業特別会計予算 議案第16号 平成30年度松山市松山城観光事業特別会計予算 議案第17号 平成30年度松山市後期高齢者医療特別会計予算 議案第18号 平成30年度松山市公債管理特別会計予算 議案第19号 平成30年度松山市公共下水道事業会計予算 議案第20号 平成30年度松山市水道事業会計予算 議案第21号 平成30年度松山市簡易水道事業会計予算 議案第22号 平成30年度松山市工業用水道事業会計予算 議案第23号 特別職の職員で常勤のものの給与に関する条例及び松山市公営企業管理者の給与等に関する条例の一部改正について 議案第24号 松山市消防団条例の一部改正について 議案第25号 松山市消防手数料条例の一部改正について 議案第26号 松山市印鑑の登録及び証明に関する条例の一部改正について 議案第27号 松山市介護保険条例の一部改正について 議案第28号 松山市指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部改正について 議案第29号 松山市介護医療院の人員,施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の制定について 議案第30号 松山市指定障害福祉サービスの事業等の人員,設備及び運営に関する基準等を定める条例及び松山市指定障害者支援施設の人員,設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について 議案第31号 松山市旅館業法施行条例等の一部改正について 議案第32号 松山市手数料条例の一部改正について 議案第33号 松山市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正について 議案第34号 松山市都市公園条例の一部改正について 議案第35号 松山市営住宅管理条例の一部改正について 議案第36号 松山市県営土地改良事業分担金徴収条例及び松山市営土地改良事業等の経費の分担金等徴収に関する条例の一部改正について 議案第37号 包括外部監査契約の締結について 議案第38号 松山市辺地総合整備計画(平成30年度~平成34年度・旧中島町域)の策定について 議案第39号 工事請負契約の変更について(松山市菅沢町産業廃棄物最終処分場支障等除去対策工事) 議案第40号 旧慣による市有財産の使用廃止について 議案第41号 市道路線の認定について 議案第42号 松山市消防団員等公務災害補償条例の一部改正について 議案第43号 松山市国民健康保険条例等の一部改正について (代表質問)   ──────────────── 本日の会議に付した事件日程第1 会議録署名議員の指名日程第2 議案第1号~第43号   ──────────────── 出席議員(40名)  1番  池 田 美 恵  2番  白 石 勇 二  3番  本 田 精 志  4番  岡   雄 也  5番  岡 田 教 人  6番  大 木 健太郎  7番  上 田 貞 人  8番  杉 村 千 栄  9番  中 村 嘉 孝  10番  太 田 幸 伸  11番  山 瀬 忠 吉  12番  長 野 昌 子  13番  清 水 尚 美  14番  吉 冨 健 一  15番  大 塚 啓 史  16番  向 田 将 央  17番  松 本 博 和  18番  角 田 敏 郎  19番  小 崎 愛 子  20番  武 田 浩 一  21番  上 杉 昌 弘  22番  梶 原 時 義  23番  渡 部   昭  24番  大 亀 泰 彦  25番  雲 峰 広 行  26番  渡 部 克 彦  27番  若 江   進  28番  菅   泰 晴  29番  栗 原 久 子  30番  原   俊 司  31番  土井田   学  32番  猪 野 由紀久  33番  丹生谷 利 和  34番  寺 井 克 之  35番  森 岡   功  36番  宇 野   浩  37番  池 本 俊 英  38番  田 坂 信 一  39番  清 水 宣 郎  40番  白 石 研 策   ──────────────── 欠席議員(0名)   ──────────────── 事務局出席職員職氏名  事務局長     平 野 陽一郎  事務局次長    渡 部 俊 明  総務課長     芳之内 克 暢  議事調査課長   山 内   充  議事調査課主幹  篠 原 陽 三  議事調査課主査  上 田 勝 洋   ──────────────── 説明のため出席した者の職氏名  市長       野 志 克 仁  副市長      梅 岡 伸一郎  副市長      西 泉 彰 雄  総務部長     片 山 雅 央  理財部長     前 田 昌 一  理財部副部長   黒 川 泰 雅  財政課長     大 木 隆 史  総合政策部長   河 合 洋 二  総合政策部危機管理水資源担当部長           矢 野 博 朗  総合政策部坂の上の雲まちづくり担当部長           中 富 宣 行  国体推進局長   池 田 和 広  市民部長     唐 崎 秀 樹  保健福祉部長   松 原 ゆ き  保健福祉部社会福祉担当部長           西 市 裕 二  保健福祉部子ども子育て担当部長           黒 瀬 純 一  環境部長     松 本 善 雄  都市整備部長   川 口   学  都市整備部開発建築担当部長           隅 田 完 二  下水道部長    竹 田 正 明  産業経済部長   大 崎 修 一  産業経済部道後温泉活性化担当部長           大 西 高 史  産業経済部農林水産担当部長           中 田 忠 徳  消防局長     鵜久森 政 則  教育長      藤 田   仁  教育委員会事務局長津 田 慎 吾  会計管理者    片 本 悦 央  公営企業管理者  平 岡 公 明  公営企業局管理部長高 市 健 次   ~~~~~~~~~~~~~~~~       午前10時0分開議 ○栗原久子議長 これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配付の日程第2号のとおりであります。   ──────────────── ○栗原久子議長 まず、日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員は、会議規則第86条の規定により、議長において13番清水尚美議員及び14番吉冨議員を指名いたします。   ──────────────── ○栗原久子議長 次に、日程第2、議案第1号ないし第43号の43件を一括議題とし、上程議案に対する質疑とあわせ、代表質問を行います。 この際、申し上げます。各議員の発言は、申し合わせの発言時間内においてお願いいたします。 それでは、通告者の発言を順次許可します。まず、清水宣郎議員。 〔清水宣郎議員登壇〕 ◆清水宣郎議員 おはようございます。時がたつのは早いもので、私ども議員一同は、平成26年5月に市民の信任を得て、歴史と伝統ある松山市議会議員に選出されました。地方議会は、二元代表制のもと、地方公共団体における事務執行の監視機能と立法機能を発揮しながら、市民の皆様の負託に応え、松山市の一層の発展に向け、最大の努力を尽くしてまいりたいと決意して、4年目の区切りの年を迎え、この本会議も議員任期最後となりました。改選を目前に控えておりますが、ここにいる議員全員が再びこの議場に戻ってくることを念願いたしまして、ただいまより自民党議員団を代表して質問を行いますので、理事者の皆様には御答弁のほどよろしくお願いを申し上げます。 最初に、新年度予算編成についてをお伺いいたします。我が国の経済の現状について、政府は1月に閣議決定された経済見通しにおいて、各種政策の効果により雇用や所得環境の改善が続く中で、企業収益の改善による設備投資の増加や賃金上昇による個人消費の伸びなど、内需を中心として成長していくとの見方を示すとともに、堅調な海外経済も追い風となり、輸出も好調を持続していくことで、平成30年度の国内総生産の実質成長率は1.8%程度、名目成長率は2.5%程度になると見込んでいます。また、先行きについても、企業部門の回復が家計へと波及する景気の好循環が期待できるとし、景気全体の判断を消費税率引き上げ直前駆け込み需要があった平成26年3月以来、約4年ぶりに緩やかな回復基調が続いているから緩やかに回復しているとした、1月の基調判断を引き続き据え置いているほか、日銀が発表した1月の愛媛県金融経済概況においても、個人消費の持ち直しに加え、住宅投資や公共投資がともに高水準で推移しているとして、国の基調判断と同じく、緩やかに回復しているとするなど、地方でも景気回復の兆しが見え始めていると期待をされているところであります。しかしながら、民間エコノミストが予想する実質成長率の平均は1.2%程度となっており、今回の政府の予測を楽観的であるとの見方もあることから、企業の規模や地域、所得階層ごとに差が見られる景気の波及効果が本当に地方まで浸透するのかどうかについては、まだまだ慎重に見守っていく必要があると感じているところであります。こうした状況のもとにおいて、現在国で審議が行われております平成30年度の政府予算案につきましては、高齢化による社会保障関係費の増加などにより、前年度比0.3%増の97兆7,128億円と、6年連続で過去最大を更新する中、国の政策経費の伸びを平成28年度から30年度の3年間で1兆6,000億円程度に抑えるとしていた財政健全化計画の目安等についても達成されております。また、新規国債の発行についても、8年連続で縮減しているほか、一般会計の基礎的財政収支プライマリーバランス)についても改善するなど、財政の健全性を示す指標についても改善をされております。しかしながら、これらは27年ぶりの高水準を見込んだ税収増や低金利による利払い費の減によるところが大きく、保育の受け皿拡大、幼児教育の段階的無償化等人づくり革命や地域の中核企業への支援等の生産性革命などの重点施策への配分が優先されており、抜本的な歳出削減への機運は後退しているように思われます。既に政府は、昨年国と地方の基礎的財政収支プライマリーバランス)を平成32年度に黒字化するという目標を先送りしたほか、平成31年10月に予定されている消費増税の増収分のうち、1.7兆円を借金減額から教育無償化の経費に回すとしており、本年6月に策定される予定の財政健全化計画が地方予算にどのようにかかわるのか、大変危惧をいたしているところであります。そうした中で、本市の予算案では、扶助費や介護などに係る社会保障給付費が伸び続ける厳しい財政状況にあっても、子育て支援や中小企業対策を初め、市民の安全・安心を守る防災対策など、市民目線で細部まできめ細かく対応されており、山積する課題にも果敢に挑戦するという、市長の強い意志を感じることができ、今後の市政運営に大いに期待をいたしているところであります。 そこで、市長にお伺いいたします。まず、質問の1点目として、平成30年度の予算編成に当たり、どのような姿勢で臨まれたのか、その考え方についてお伺いいたします。 さらに、今回の新年度予算案では、一般会計で1,783億円と前年度当初予算と比較して19億円、率にして1.05%の減になっておりますが、歳出を款別に見ると、対前年度比で総務費が6億3,000万円、商工費が2億6,000万円の伸びを示す反面、教育費が27億円、民生費が1億4,000万円と大きく減少しています。質問の2点目として、今回の一般会計予算が減になった要因について、増要因とあわせてお伺いいたします。 また、総務省がまとめた平成30年度の地方財政計画によると、地方税や地方交付税などの一般財源総額については、引き続き地方創生に加え、社会保障関係経費や公共施設の老朽化対策など、自治体が取り組む事業に支障が生じないように配慮され、前年度を上回る62兆1,159億円が確保されております。しかしながら、その歳入は国の予算と同様に、景気回復による地方税収の伸びを見込んだものとなっており、実際に自治体に配分される地方交付税については、前年度から3,000億円の減額になるなど、国が見込むとおりの税収の増加が期待できない場合には、大変厳しい財政運営になることが想定されているところであります。質問の3点目として、こうした状況の中で、新年度の税収や地方交付税などの一般財源についてどのように見込んでいるのかをお伺いいたします。 次に、「ふるさと松山学」についてをお伺いいたします。近年の社会は、少子高齢化や高度情報化、グローバル化など、加速度的に進展し、社会構造は大きく変化しており、将来を予測することが困難な時代になったと言われています。その変化の要因の一つとして、人工知能(AI)の飛躍的な進化が上げられます。私たちの生活の中にも掃除ロボットや自動車の自動運転など、人工知能の活用がふえてきました。人工知能がいかに進化し、考えることができるようになったとしても、私たちは人間の持つ豊かな感性を働かせ、新たな価値を創造したり、他者と協働しながらさまざまな課題を解決したりして、社会や人生をよりよいものにしていかなければなりません。このような中、平成29年3月に新しい学習指導要領が告示されました。子どもたち一人一人が社会の変化を受け身で対応するのではなく、主体的に向き合ってかかわり合い、幸福な人生を切り開き、未来の作り手となることができるよう、必要な力を育んでいくことが示されています。大人の私たちが複雑で目まぐるしく変化する社会に翻弄されている今、子どもたちは何を見詰め、何を目指して歩んでいるのでしょうか。先日、広報まつやまの中学生連載企画「私たちのふるさと松山学」の記事を目にいたしました。これは、中学生が自分の住んでいる校区の先人や文化について調べたことや学んだことを広報まつやまに掲載することで、多くの市民に地域の魅力を発信しているものでした。その中にある中学生が、こんなことを書いていました。「普段は何気なく通っている道、見ている川、山の中に私たちのふるさとを築いた人の足跡があることを知りました。昔の人の努力を尊敬しながら、私たち若い世代が将来へつなげていきたいと思います。」何とも頼もしい言葉です。中学生が地域学習を通して地域の歴史や先人の足跡をたどり、その思いや願いを身近に感じることで、子どもたちが自分たちの将来を見詰めながら、先人の生き方を学んでいる姿をかいま見ることができました。このように地域を誇りに思う心を醸成していくことが、将来、魅力ある松山をさらに発展させる原動力、推進力になると考えます。昨年は、正岡子規・夏目漱石・柳原極堂生誕150年という記念の年でもあり、この3人にスポットを当てた松山ならではのエピソードを盛り込んだ取り組みとして、子規記念博物館に映像や音声で子規と漱石の松山での日々を紹介するコーナーや創作人形で場面を紹介するなど、わかりやすい展示が新設がなされました。また、記念式典では、子規の俳句や短歌などの創作活動について基調講演やパネルディスカッションが行われ、市民だけでなく、市外の参加者とともに、松山の偉人を知り、理解を深める機会となりました。こうした各種イベントを通して、子規・漱石の友情や愚陀佛庵での日々、極堂を初めとする友人たちとの交流など、改めてこれら松山ゆかりの先人の思いなどに触れることもできました。子どもたちにも今後さらにふるさと松山のよさを知ってもらうことで、郷土を愛し、これからの多様な社会に対応できる力を育むことができるようになると強く感じております。そのような中、私は、今まさに教育長が所信で述べられたふるさと松山学を中心とした郷土やその先人についての学習に注目しているところであります。このふるさと松山学は、さかのぼること平成21年、松山の先人や歴史・文化に根差した資料をつくり、それを子どもたちに郷土への愛着や誇り、将来への志を育む教材としてはどうかという教職員からの施策提案を受けて事業化し、作成に当たったもので、平成23年度から教材として活用していく中で、これまでにふるさとゆかりの先人63人のエピソードを取りまとめた先人伝全6巻と正岡子規の人生や俳句に触れる子規と俳句に関する教材全3巻で構成されていると伺いました。先般、この既刊本「ふるさと松山学先人伝」を拝見いたしましたが、私の住む北条地域ゆかりの河野通有や中江藤樹などのエピソードや功績が取り上げられており、改めて先人たちの生きざまに敬服した次第であります。もとより教育は、国家百年の計とも言われるとおり、子どもたちが未来を切り開くための資質や能力を育成するためには、多くの時間と投資が不可欠であると考えています。しかしながら、今日の社会情勢、経済情勢を見ますと、教育行政においても、限られた財源の中でよりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるという目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら知恵を出し合うことが求められてきています。こうした中、昨年の11月に開催された市長と教育長を含む5人の教育委員が公開の場で議論する総合教育会議において、このふるさと松山学もテーマの一つとなったとお聞きいたしました。そこで、松山ならではの特色ある教育として、進められているふるさと松山学について教育長にお伺いいたします。 まず、質問の1点目として、教育行政に関する説明の中でも触れられておりました新編「ふるさと松山学先人伝」では、どのような人物が掲載されているのか、お伺いいたします。 質問の2点目として、今議会に新編「ふるさと松山学先人伝」と既刊本6巻の先人伝を合わせた全7巻の物語の内容をコンパクトにまとめたダイジェスト版を作成する予算も計上されておりますが、どのような内容で作成し、どのように活用をしていくのかをお伺いいたします。 次に、消防行政についてをお伺いいたします。本年は、自治体消防制度70周年の節目の年となります。現在の市町村を主体とする消防制度が発足したのは、戦後のさまざまな新しい制度がつくられた時代の中、昭和23年3月7日に消防組織法が施行され、警察機構から分離し、市町村自治消防へ大きくかじを切られたものであります。その後消防は、社会情勢の変化とともに、火災の予防や消火のみならず、災害から国民の生命と財産を守り、国民生活の安全を確保するため、昭和38年には、急病患者や交通事故の増加に伴い、地域住民の要望と行政機関の機運が一体となって救急業務が法制化されたほか、昭和47年には、災害時に人命救助に当たる消防職員の技術向上のため、全国消防協会主催で第1回の全国消防救助技術大会が開催されるなど、救急や救助の重要な役割を担うようになりました。一方、予防行政面では、昭和47年の大阪市千日デパート、翌年には熊本市の大洋デパートなどで相次ぐ大規模な火災で多数の死者が発生したことを受け、消防設備の規制が強化されました。しかしながら、平成13年の新宿歌舞伎町の雑居ビルでは、避難施設の管理不備などにより44名の死者が発生するという痛ましい火災が発生したことから、この火災を教訓に、違反是正や防火管理の徹底、避難安全基準の強化を柱とし、それらを担保するために最高1億円という罰則が盛り込まれ、消防法が大幅に改正されました。これは、火災予防制度の改正としては、実に28年ぶりとなるもので、積極的な予防行政のスタートとなったわけであります。また、近年の自然災害を振り返りますと、地震では、戦後最大規模の被害となった平成7年の阪神・淡路大震災を初め、平成16年新潟県中越地震、平成23年の東日本大地震や、記憶に新しいところでは一昨年の熊本地震など、震度7を観測した地震が頻発しております。さらに、毎年のようにゲリラ豪雨や台風などの気象災害も全国各地で発生し、そのたびごとにかけがえのない大切な命と財産が失われています。国では、阪神・淡路大震災を契機に、大規模地震や特殊災害に対する緊急対応体制の充実強化を図るため、平成7年6月に緊急消防援助隊が発足しました。その後、平成15年6月消防組織法が改正され、緊急消防援助隊を法制化した新たな体制が、翌16年4月からでき上がったわけであります。同年に発生した新潟県中越地震では、緊急消防援助隊が出動し、崖崩れ現場の埋没車両から男児1名を救出するなど、消防救助活動を行ったことは、ニュースでごらんになられた方も多いことと思います。また、東日本大震災では、場所によっては40メートル以上の巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害を及ぼしました。巨大津波以外にも地震の揺れや液状化現象、地盤沈下などによって北海道南岸から東北を経て、東京湾を含む関東南部に至る広大な範囲で被害が発生し、人々の生活に必須なライフラインが寸断されたことは、皆様御承知のとおりであります。このような災害から市民の安全と安心を確保するためには、消防力の充実は欠かせないものであり、本市では、市長の公約でもある基本政策や第6次総合計画の中でも触れているように、地域や企業の間でも災害に備えるための取り組みが広がりつつあります。そこで、消防予算についてをお伺いいたします。先般、平成29年の火災・救急統計が発表されました。市民の安全と安心を確保するために、消防職員が昼夜を分かたず頑張っていただいていると思いますが、火災・救急件数ともに増加をいたしております。今回の平成30年度の目的別予算では、この件数の増加に合わせるかように、消防費が前年比3.53%の伸びとなっており、厳しい財政事情の中でも、市民の安全と安心を高めるために必要な予算措置がなされていると強く感じております。 まず、質問の1点目として、消防局としてどのようなことに重きを置いて事業を展開するのか、お考えをお伺いいたします。 次は、自主防災組織の充実についてであります。今日では、建物構造の複雑・大規模・高層化などが進み、消防活動に大きな危険や困難を伴っており、また高齢化や過疎化が進む中で、自主防災組織女性防火クラブなどの地域密着型組織の結成も進んでまいりました。自民党会派といたしましても、南海トラフ大震災等を想定し、これまで以上に防災・減災対策を推進することを最重要要望の一つに掲げています。今月初めに台湾東部で発生した地震では、邦人も被害に巻き込まれており、我が国から専門家チームが派遣され、行方不明者の捜索や救助活動の支援に当たりました。一刻も早い復興を心からお祈り申し上げたいと思う次第であります。こうした地震災害は、いついかなるときに発生するか予測が困難であります。担当部局では、各種団体と一致協力して、防災・減災対策の推進に取り組んでいただきたいと思っております。質問の2点目は、我が党の要望に対する自主防災組織の活動充実についてどのように取り組むのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。 最後は、消防団の充実についてであります。本市の消防団は、消防団員数四国一、女性団員数日本一と、今や全国から注目される存在になっています。また、全国に先駆けて郵政職員や大学生、事業所などの機能別消防団員をいち早く導入し、まつやま・だん団プロジェクトでは、消防団員を応援するため、IC機能つき団員証の発行や消防団員応援事業所の加入促進など、団員確保対策に積極的に取り組まれております。私も先日の出初め式に出席をさせていただきましたが、好天にも恵まれ、たくさんの市民に御来場をいただいた中、消防団員の士気あふれる分列行進、また勇壮な竹ばしご操法や消防訓練もあり、非常に有意義な式典でありました。全国的に減少している消防団員ではありますが、本市では毎年増加していることをお聞きし、こうした取り組みの成果であると感じているところであります。そこで、質問の3点目は、今回消防団の条例改正で団員を増員するとありますが、消防団員を増加し、消防団の充実についてどのように取り組むのかお考えをお伺いいたします。 次に、働き方改革支援プロジェクトについてお伺いいたします。初めに、厚生労働省発表の2017年の有効求人倍率の平均は、前年比で0.14ポイント高い1.5倍で、8年連続の上昇となり、過去最高水準だった1973年以来、44年ぶりの高水準となっています。愛媛県内はと言えば、愛媛労働局が1月末に発表した2017年12月の県内雇用失業情勢では、県内有効求人倍率は1.56倍、正社員有効求人倍率は1.15倍となり、集計を始めた2004年11月以降の最高値を更新しています。また、総務省が発表した2017年の完全失業率は2.8%で、前年より0.3ポイント下がり、バブル経済直後の1994年以来、23年ぶりに3%を割り込みました。これは、勤務地や職種などの条件が合わないために起こる構造的な失業を考慮すると、働く意思があれば職につける完全雇用状態にあります。こうした中、先月開会した通常国会冒頭の施政方針演説では、深刻化する少子高齢化を克服するため、女性も男性もお年寄りも若者も障がいや難病のある方も全ての日本人が、その可能性を存分に開花できる新しい時代を切り開いていこうと発言され、働き方改革や賃上げを掲げ、経済最優先の考えが示されました。日本の労働力人口は、何も策を講じなければ、2030年に5,800万人と2015年比で1割以上減少する試算が出ています。また、先月発表された県内中小企業の2017年10月から12月期の景況調査結果によると、経営上の課題として、従業員の不足を上げる企業の割合は52.7%と高水準となっており、企業、特に中小企業の人手不足が、一層深刻になっていることがわかります。最近では、人手不足を補う新たな技術として、人工知能AIやロボット、全てのものがインターネットにつながることでネットワークをつくる、いわゆるIoTなどのデジタル技術が注目されております。世界では、大手通販サイトがAIの技術を駆使して、レジをなくした無人AIコンビニエンスストアをアメリカ・シアトルに開業するという報道がありました。国内においても同様の動きが見られており、大手コンビニチェーンでは、深夜・早朝のレジを無人にする実験を今年の春に実施する予定と伺っております。また、IoTの活用によって品質向上や業務改善につなげることができるAIの導入に関しては、市内中小企業での活用を考えた場合、費用や効果等の面から、まだまだ限定的ではないかと思いますが、さきのロボットソフトウエアなどのIT技術であれば、導入による生産性の向上やワーク・ライフ・バランスの実現に寄与することも考えられるのではないでしょうか。このように少子化、人口減少という今までに経験したことがない状況の中、デジタル技術の飛躍的な向上や普及が新たなイノベーションを起こす可能性を秘めていると感じており、地方都市である松山市であるからこそ、避けては通れないものではないかと考えます。さて、こうした状況の中、30年度当初予算では、新規事業と既存事業を組み合わせ、市内中小企業が直面する人手不足の克服に向けて政策を総動員した総合的な中小企業支援策、働き方改革支援プロジェクトを展開されるということで、市長の松山市経済活性化に向けた強い意気込みが伝わってまいります。 そこで、質問の1点目ですが、今回の働き方改革支援プロジェクトを進めるに当たり、市長の取り組み姿勢についてをお伺いいたします。 次に、新規事業として提案された人手不足対策緊急支援事業の具体的な取り組み内容についてお伺いいたします。本事業は、人手確保と業務効率化という2つの観点を踏まえて検討されたと伺っております。人口減少に伴い、生産年齢人口が減っていく中、これまでのように雇用拡大によって経済成長を維持していくことが困難な状況ではありますが、現時点で十分に労働力を取り込めているとは言いがたいのではないでしょうか。さまざまな理由から、働きたいのに働けない、働き続けられないといった方々を労働力として確保することができないでしょうか。そこで、質問の2点目として、市内中小企業の人手確保に対して、どのような支援を行っていくのか、お伺いいたします。 また、人手不足の克服には、業務の効率化を図ることが不可欠であると考えますが、その手段としては、さきに上げたようなデジタル技術の活用が鍵を握っているのではないでしょうか。世の中には、さまざまな業務効率化のためのITツールが存在していると伺っていますので、市内の中小業者がそれらを有効に活用できる環境をつくっていくことが求められているのではないでしょうか。そこで、質問の3点目として、ITツールを活用した業務効率化に向けてどのような支援を行っていくのかをお伺いいたします。 政府は、働き方改革の一環として、これまで原則禁止されていた会社員の副業、兼業を積極的に推進する方針に転換し、多様な就業スタイルに注目が集まっています。その一つとして、特定の会社に属さず、自分の能力を武器に自由に働くフリーランスや副業、兼業をしている人も含めると、国内に1,100万人以上いるという推計があります。NPO法人が行った調査では、副業を認めない企業に魅力を感じないと回答した正社員が56.5%だったという新聞報道があるなど、多様な働き方に対する関心は、今後も高まっていくものと考えられ、働く人が活躍できる環境をいかにつくっていくかが重要になってくると考えます。そこで、質問の4点目として、柔軟な働き方ができる環境づくりに向けて、どのような支援を行っていくのかをお伺いいたします。 最後に、保育環境の充実についてお伺いいたします。依然全国的に保育所等の待機児童問題が大きく取り上げられています。国によれば、昨年4月1日現在の保育所等定員は274万人で、前年度比10万人の増加、保育所等を利用する児童の数は255万人で、前年度比8万8,000人の増加と、全国的に少子化傾向でありながら、保育のニーズの高まりは続いており、全国の待機児童数も2万6,081人となり、前年度比2,528人増加しています。一方、本市では、平成26年4月に待機児童ゼロを達成しましたが、子育て世代の女性の就業が進んだことなどにより、保育の申込者数は増加傾向にあることや国の待機児童の定義変更などにより27年4月は95人、28年4月は94人、そして29年4月は88人となっています。さて、国は、昨年6月2日に待機児童解消のための新たなプランである子育て安心プランを公表しました。このプランは、遅くとも2020年度末までに待機児童を解消し、その後も待機児童ゼロを維持しながら、2022年度末までに女性就業率80%に対応できる保育の受け皿を整備するとされています。これを確実に実現するための支援策として、保育の受け皿の拡大やその拡大を支える保育人材確保などが示されています。保育施設の増加に伴い、保育士の求人倍率が上がり、全国的に保育士の確保が厳しい状況で、保育所等の施設ができても、保育士が見つからなければ、子どもの受け入れが十分にできないということも起こり得ます。保育士の資格を持ちながら保育士の仕事をしていない、いわゆる潜在保育士も多いと言われていますが、これらの方の掘り起こしは容易ではありません。保育士数の底上げも重要ですが、その前に保育士がやりがいを持って長く働き続けることができる環境を整えることが最も重要であると考えます。そのような中、保育士等の新たな処遇改善に係る予算が、先般12月定例市議会で計上されておりました。国の制度改正に伴い、技能・経験を積んだ職員に対して追加的な処遇改善を実施し、保育所等でのキャリアアップの仕組みの構築を支援するものです。今後も処遇改善に係る国の制度変更などがあった際には、市としてもこれまでと同様、速やかに対応していただきたいと思います。さて、冒頭述べましたとおり、本市の昨年4月現在の待機児童数は88人と、ゼロとはほど遠いと言わざるを得ない数値であります。子育て世代の女性の就業が進めば、それに比例して保育所等の利用希望者も増加し、全国的な少子化傾向を踏まえても、当面は保育ニーズは減少しないのではないでしょうか。このままでは、働き手不足が深刻化してくるおそれもあります。そのために国も女性就業率を上げたいと考えているのだと思います。お子さんの誕生後、喜びもつかの間、すぐに育児休業後の復職のために保育所等の心配をしている方もおられます。育児休業の取得期間は、原則子どもが1歳になるまでですが、保育所等を入所保留となった場合には、1歳6カ月になるまで、さらに昨年10月からは、2歳になるまで延長できることになりました。育児休業をとりながら、家庭で保育することも重要ですが、さまざまな事情で早目に育児休業から復職を希望している方も少なくありません。しかしながら、育児休業からの復職が年度途中である場合、保育の必要度は高いにもかかわらず、入園が難しく入園保留となり、やむを得ず認可保育所の一時預かりなどを利用している方もおられると思われます。少子化傾向を少しでも改善するためには、子育て環境の充実は不可欠です。このまちで子どもを産んで、このまちで育てたいと、少しでも多くの市民が思うようなまちづくりをしなければなりません。さらに、市長は公約の中で、入園できない児童ゼロを目指すとしています。市長就任以来、平成26年度までに認可保育所新設などにより330人分の保育定員を確保し、また27年度に子ども・子育て支援新制度が施行されてからは、既存の幼稚園の認定こども園への移行や小規模保育事業など、地域型保育事業の認可などで、27年度から29年度までの3カ年で新たに1,442人分の保育定員を確保するなど、合計で1,772人分の保育定員を新たに確保し、平成29年4月1日現在の市内の保育定員は、7,637人となっています。さらに、30年度もふえる見込みとのことであります。施設の増加などによる保育の受け皿の拡充は、重要なことであると思います。しかしながら、施設をふやせば、保育士の確保が必要になります。保育士の配置基準は決まっており、一人の保育士で保育できる子どもの数は、4歳から5歳児は30人ですが、1歳から2歳児は6人、ゼロ歳児に至っては3人となっています。全国的な保育士不足の中、この配置基準を満たす保育士を確保するのは、容易なことでないと推測されます。余裕を持った確保ができない場合、保育士の負担も増大し、保育の質を向上させるための苦労も多いと思われます。本市では、これまでさまざまな待機児童対策を講じておりますが、子育て家庭がさらに希望を持って本市に住み続けたいと思うようなまちになるよう、そして保育士等がやりがいを持って長く勤められるような環境をつくっていただきたいとの思いで2点お伺いいたします。 質問の1点目は、これまで行ってきた保育士等への処遇改善の概要と効果についてをお伺いいたします。 質問の2点目は、平成30年度新規事業(待機児童対策・保育の質向上事業)の概要と効果についてをお伺いいたします。 以上で、代表質問を終わります。 ○栗原久子議長 これより答弁を求めます。野志市長。 〔野志克仁市長登壇〕 ◎野志克仁市長 清水宣郎議員に、私からは平成30年度予算編成のうち、基本的な考え方と姿勢についてと保育環境の充実のうち、待機児童対策・保育の質向上事業の概要と効果についてお答えします。 まず、予算編成の基本的な考え方については、新年度の予算編成では、厳しい財政状況の中、昨年度に引き続きゼロベースで事業を総点検し、財源を捻出するなど、持続可能な財政運営を念頭に置きながら、第6次総合計画に掲げる将来都市像「人が集い 笑顔広がる 幸せ実感都市 まつやま」を目指すことはもちろん、現地・現場を大切に、市民目線を大切に、市民が幸せを実感できるまちづくりを推し進めたいと考えております。こうした中、新年度は、私が市長に就任して2期目の総仕上げとして、子育て環境の充実や超高齢社会への対応、地域経済や道後温泉地区の活性化、防災・減災対策の強化の3つの分野に特に力を入れて取り組みます。 まず、子育て環境の充実では、妊娠期から子育て期にわたるさまざまなニーズに対応する拠点として、子育て世代包括支援センターを、ことし7月を目途に市内5カ所に開設します。また、超高齢社会への対応では、高齢者の皆さんが健康を増進するイベントなどに参加した場合にポイントを付与する事業を行うなど、健康寿命の延伸に努めます。次に、地域経済の活性化では、働き方改革を進めるほか、中小企業などを対象に利子補給制度を創設し、また花園町からロープウエー街にかけて一体的な集客イベントを行うなど、中心商店街にさらににぎわいを創出し、回遊性を高めます。また、本館の本格的な保存修理工事が行われる予定の道後温泉地区の活性化では、冠山に足湯や休憩所を整備し、保存修理工事を観光資源化するなど、新たな誘客策に取り組みます。次に、防災・減災対策では、地震などの防災情報を学校などの各教室に迅速に伝達するための施設を整備したり、救護所などで使用する医薬品を確保したりするほか、上水道基幹管路や救護所への給水ルートの耐震化を進めます。そのほか、さまざまな取り組みを通して公約の実現に向け、スピード感を持ってそれぞれの分野で施策を着実に遂行できるよう、限られた財源の中でもめり張りをつけた予算編成にしています。 続いて、待機児童対策・保育の質向上事業の概要と効果については、依然保育ニーズが増加していることや全国的に保育士などの確保が難しい状況などを考慮し、平成30年度からソフト面の支援に重点を置いた新たな取り組みを推し進めます。1つ目は、待機児童の約8割を占める1歳児と2歳児の受け入れをふやすため、各施設が面積基準や保育士などの配置基準を満たした上で、4月に1歳児、2歳児を定員を超えて受け入れる場合、定員を超えた子ども1人当たり月5万円を6カ月分を上限に各施設に助成し、子どもの受け入れをふやすのに必要な保育士などの確保や保育環境の充実につなげます。2つ目は、年度途中に育児休業から復職する方に入所予約制を導入し、4月から入園する月までの間、子ども1人当たり月6万円を各施設に助成します。各施設は、計画的に子どもの受け入れができ、保護者は復職を前倒しすることなく、安心して家庭で保育ができます。3つ目は、配置基準以上の保育士などを配置している場合の助成で、これまでの上限7カ月分を12カ月分に広げ、また支給対象に地域型保育事業を追加します。保育士などの確保に有効で、保育士などが十分確保できれば、個々の負担が軽減され、さまざまな研修へ参加もでき、資質や専門性が高まります。4つ目は、4月に入所申し込みをしている求職中の方が、一時預かりを利用する際にその費用を助成します。保護者が安心して求職活動に専念でき、雇用の促進にもつながります。これらの新たな取り組みで、多くの子どもを受け入れられるのはもちろん、子どもの成長や発達に合わせたさらによい保育を提供できるようになります。また、保育の質が高まれば、子どもは家庭も含め健やかに伸び伸びと過ごすことができ、保護者はその子どもの成長を感じ、笑顔を見ることで安心し、家庭や仕事の充実につながると考えております。 そのほかの質問につきましては、関係理事者からお答えいたしますので、よろしくお願いをいたします。 ○栗原久子議長 梅岡副市長。 〔梅岡伸一郎副市長登壇〕 ◎梅岡伸一郎副市長 清水宣郎議員に、働き方改革支援プロジェクトについてお答えいたします。 まず、本市の取り組み姿勢についてですが、現在国内景気の緩やかな回復に合わせ、県内、市内の景気は緩やかな持ち直しが続き、有効求人倍率も高水準で推移する一方で、人手不足による景気の減速が懸念されております。現在の人口減少社会の中で人手不足を解消するには、新たな人手の確保や労働生産性の向上、そして従業員や求職者から働きたいと思われる良好な労働環境が重要であり、景気が回復している今こそ、松山市独自の働き方改革に取り組む必要性があると考えております。そこで、新たに働き方改革支援プロジェクトを立ち上げ、総額2億5,000万円規模で人手不足の克服に向けた総合的な対策に取り組むことにいたしました。このプロジェクトでは、新規事業として、人手確保と業務効率化、そして柔軟な働き方を支援する人手不足対策緊急支援事業や省力化につながる設備資金融資への利子補給制度などの創設を初め、女性や高齢者の就労支援やテレワークの推進などの既存事業も織りまぜながら、中小企業を元気に、そして産業・雇用で幸せが実感できるように取り組みたいと考えております。 次に、中小企業向け人手確保支援についてですが、女性が出産を機に仕事をやめ、子育てが一段落した後働き始める、いわゆるM字カーブは、市民アンケートによりますと、出産前に仕事をしていた女性のうち、約7割が出産を理由に離職したと回答しており、解消には至っていない状況です。そこで、育児休業を取得する従業員の代替要員の確保を支援することにより、労使ともに安心して育児休業が取得できる環境をつくり、出産を機にした離職者を減少させたいと考えております。また、最近の採用活動では、大手就職サイトを活用する事例が主流となっておりますが、多額の掲載費が必要になるため、中小企業にとっては利用が難しく、特に県外の求職者に知られる機会を逃していました。そこで、就職情報サイトへの掲載を支援し、県内はもとより、進学や就職を機に県外で生活している方などのUIターンも視野に入れて、新卒や中途人材の確保につなげたいと考えております。 次に、ITツールによる業務効率化についてですが、IT技術の急速な進歩は、業務効率化を可能にし、人にかわる労働力としても期待できるようになりました。しかしながら、市内の中小企業の多くは、IT機器の活用について関心はあるものの、導入には慎重な企業もあると伺っております。そこで、働き方改革をともに進める協働企業の中からチャレンジ企業を選定し、実際にITツールを導入して業務改善に取り組むとともに、成功事例を市内企業に広く周知することで、業務効率化を促進したいと考えています。 最後に、柔軟な働き方への支援についてですが、近年は時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が広がりつつあり、市内でもフリーランスなどが集うコワーキングスペースの利用者は増加をしているとのことです。人手不足に苦しむ企業にとっては、こうしたフリーランスなどに業務の一部を任せることができれば、従業員の負担軽減だけでなく、社外からの視点を取り入れることで、新たなビジネスプランが生まれる可能性も期待できると思います。そこで、コワーキングスペースの利用助成を初め、交流の場の提供や研修会への講師派遣など、フリーランスなどの活動を支援するとともに、人手が不足する企業とのマッチングなどにも取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。 ○栗原久子議長 前田理財部長。 〔前田昌一理財部長登壇〕 ◎前田昌一理財部長 清水宣郎議員に、平成30年度予算編成のうち、一般会計の増減要因と一般財源の見通しについてお答えいたします。 まず、一般会計の減要因ですが、今年度計上していたえひめ国体・えひめ大会の終了に加え、平成30年度は、社会福祉施設や認定こども園の整備方針を定める計画の見直し中であり、関係予算を計上していないことや、年金支給期間の緩和などにより対象者が減少している生活保護支給事業の減などによるものです。また、増要因は、子ども・子育て給付事業に加え、障害福祉サービスなどの社会保障関係経費や松山駅周辺の整備、中心商店街・道後地区での賑わい創出関係事業の増などによるものです。 次に、主な一般財源の収入見込みについてですが、個人市民税や軽自動車税について増収が見込まれるものの、固定資産税や市たばこ税などについては減収が見込まれることから、現時点では市税全体で平成29年度決算見込み額とほぼ同規模の約682億円規模を見込んでいます。なお、市税に譲与税と交付金を含めた本市の地方税及び地方譲与税全体については、清算基準の見直しなどによる地方消費税交付金の増などにより、平成29年度決算見込み額から約2億5,000万円増の約796億円を見込んでいます。一方、地方交付税のうち普通交付税については、国の地方財政計画で地方交付税が対前年度比2.0%の減とされたことから、最終的には、29年度交付額から約8億円減の185億円を見込んでいます。また、臨時財政対策債については、国の地方財政計画で対前年度比1.5%の減となっているものの、ここ数年の交付状況を考慮し、29年度発行可能額とほぼ同額の80億円を見込んでいます。こうしたことから、30年度一般会計予算の一般財源は、財政調整基金等の繰入金の減もあり、29年度から約9億円減の約1,124億円を計上したところであり、引き続き厳しい状況にあるものと認識をいたしております。以上でございます。 ○栗原久子議長 黒瀬子ども・子育て担当部長。 〔黒瀬純一子ども・子育て担当部長登壇〕 ◎黒瀬純一子ども・子育て担当部長 清水宣郎議員に、保育環境の充実についてのうち、保育士等の処遇改善の概要と効果についてお答えします。 賃金の引き上げは、保育を支える保育士の確保・定着のために重要であると認識しており、これまで国の制度の基づき、迅速かつ適切に実施してきました。平成25年度及び26年度は、保育士等処遇改善臨時特例事業により、各施設に賃金改善のための補助金を支給しました。平成27年度からは、子ども・子育て支援新制度が始まり、各施設に支払われる給付費で職員の平均勤続年数等に応じた人件費の加算のほか、国家公務員の給与改定に伴う増額もされています。加えて、平成29年度からは、多様な課題への対応や若手の指導等を行う中堅職員を副主任保育士等に選任するなど、キャリアアップの仕組みの構築により賃金改善が実施されています。これらにより賃金改善前の平成24年度と比較し、月額約3万2,000円の増となっており、また新たに選任された副主任保育士等には、これに月額4万円を加えるなど、月額最大約7万2,000円の増となっています。また、保育士等からは、非正規であったが正規職員になれた、賃金改善でよりやりがいを感じる、さらなるスキルアップに努めていきたいといった喜びや決意の声が聞かれるなど、保育士等の定着・モチベーションの向上につながっていると考えています。以上でございます。 ○栗原久子議長 鵜久森消防局長。 〔鵜久森政則消防局長登壇〕 ◎鵜久森政則消防局長 清水宣郎議員に、消防行政についてお答えします。 まず、重きを置いて展開する事業ですが、平成32年度まで実施期間が延長された緊急防災・減災事業債を積極的に活用し、高度な活動が可能となる救助資機材を搭載した消防団車両を宮前地区に1台、中島地区に4台整備するとともに、河野地区の消防団ポンプ蔵置所を一部統合し、土のうステーションや待機室を備えた耐震性のある防災拠点として整備します。さらに、就航10年目を迎える消防救急艇「はやぶさ」を分解整備し、年間300回を上回る出動に備えることで、島嶼部で生活されている方々の安全と安心を守ることにしています。これらの経費として約1億6,800万円を事業化し、消防力の強化と総合的な地域防災力の向上に重点的に取り組みたいと考えています。 次に、自主防災組織の活動充実ですが、本市ではこれまでも、防災シンポジウムを初めとする講演会や避難所運営ゲームなどの研修会を通じて、参加者の知識と実践力の向上に努めてきました。来年度も愛媛大学と協働した防災士の養成や地域ぐるみの防災支援事業などに1,937万円を予算計上しています。このほか自主防災組織では、女性防火クラブや小学校・中学校などと連携し、地区防災計画を作成していますので、この計画がより実効性の高いものとなるよう、引き続き皆さんからの御意見を伺いながら、自主防災組織の訓練や研修を支援し、防災・減災対策に取り組みたいと考えています。 次に、消防団の充実についてですが、全国的に高齢化・サラリーマン化が進む現状と近年の異常気象により多発している台風、集中豪雨などの自然災害や南海トラフ巨大地震に備えるため、消防団をさらに強化していく必要があります。そこで、女性分団員や地域で活動する基本団員20名と将来地域防災の担い手となる大学生防災サポーター、いわゆる機能別消防団員を30名確保するため、このたびの消防団条例の改正で、定員を現行の2,501名から2,551名に増員します。これにより火災を初め、地震や台風など、大規模な災害が一たび発生すれば、多数の消防団員が現場に一斉に駆けつけ、地域の状況に応じた活動を実施する消防団の特性を生かした現場体制を強化します。さらに、平常時の防火・防災広報や応急手当ての普及啓発、大規模災害に備えた避難所の運営支援も充実され、全国に誇れる消防団として、さらなる発展を遂げていくものと考えています。以上です。 ○栗原久子議長 藤田教育長。 〔藤田 仁教育長登壇〕 ◎藤田仁教育長 清水宣郎議員に、「ふるさと松山学」についてお答えいたします。 本市では、子どもたちに郷土への愛着や誇り、将来への志を育むことを目的としたふるさと松山学を推進しています。こうした取り組みの中、ふるさと松山学を学校教育の枠を超えて、より広く市民にも親しんでもらいたいという思いから、新たな郷土の偉人を取り上げた新編とダイジェスト版の作成を総合教育会議で提案したものです。そこで、お尋ねの新編「ふるさと松山学先人伝」の掲載人物についてですが、小・中学校等から郷土の偉人として61名の候補者の情報提供がありました。その中から子どもたちが生き方に共感できる人物であること、松山にゆかりがあり、地域の産業や文化に貢献した人物であることなどをもとに、学識経験者や小・中学校長等で構成する編集委員会で協議を重ねた結果、奈良・薬師寺西塔の再建などに携わった和くぎ職人の白鷹幸伯氏、オーストラリアで米作産業の基礎を築いた高須賀 穣氏、台湾野球の礎をつくった近藤兵太郎氏など、松山や日本のみならず、海外でも功績を上げた16名に絞り込み掲載しています。 次に、ダイジェスト版の内容と活用についてですが、これまでに出版した先人伝に新編を加えた全7巻で取り上げた人物を、子どもたちが興味を持てるような豆知識やクイズ等を用いてわかりやすく紹介するとともに、語り継ぎたい松山の豊かな歴史や文化を盛り込んだ内容にしたいと考えています。また、朝の一斉読書の読み物や総合的な学習の時間などの調べ学習の資料として活用をしたり、学校で学んだ先人や地域のことを家庭に持ち帰り、ダイジェスト版をもとに保護者とともに語り合ったりすることで、ふるさとへの思いや松山に対する愛着や誇りがより深く育まれていくものと考えています。さらに、ダイジェスト版を松山のたからとして全国に発信し、松山の魅力を広くアピールするために、市販化することも計画しており、その実現に向けて関係者と調整を図っていきたいと考えています。以上でございます。 ○栗原久子議長 以上で、答弁は終わりました。 以上で、清水宣郎議員の代表質問を終わります。 ただいまから午後1時まで休憩いたします。       午前11時20分休憩   ────────────────       午後1時0分再開 ○栗原久子議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質問を続行いたします。寺井議員。 〔寺井克之議員登壇〕 ◆寺井克之議員 私は、松山維新の会を代表して質問いたします。市長の所信表明及び今議会に提案されております平成30年度当初予算案初め、関係議案等について質問いたしますので、市長初め関係理事者各位の適切かつ明快な答弁をよろしくお願いをいたします。 まず、農地の活用についてお尋ねをいたします。ことしは、明治元年から起算して満150年に当たる記念の年です。260年余り続いた徳川幕府の統治から近代国家への変革への一歩を踏み出した新政府は、憲法制定や議会政治、義務教育の導入など、矢継ぎ早に改革を打ち出しました。徳川幕府の親藩で佐幕派であった松山藩出身者は、明治時代には政治や教育の場面で大変な困難に直面をしました。そうした逆境にもめげず、多くの先人が活躍され、今日にその業績を残されました。そうした困難な時期に活躍した先人の一人である正岡子規の業績は、我々の誇りとするところです。昨年子規と漱石の生誕150周年の記念行事を本市で行ったことは記憶に新しいところですが、子規は日清戦争に記者として従軍する際に、松山に一時帰郷し、城山に登り有名な「春や昔 十五万石の 城下哉」の句を残しました。当時城山から見た松山平野には、城下町の周りに見渡す限り穀倉地帯が広がっていたことでしょう。現在の本市の耕地面積は、国の耕地及び作付面積統計によると6,230ヘクタールに上っています。水田主体だった江戸時代の石高と単純比較はできませんが、この面積は石高に換算すると22万石に相当するとされます。これは、先人のたゆまぬ努力により、中山間地の奥深くまで開墾が進み、耕地面積がふえてきた結果であり、この農地を有効に活用し、子孫に引き継いでいくことは、現代を生きる我々の責務と言ってもよいかもしれません。農地は、国民の食糧生産の基盤であり、安心で安全な日々の食生活を支えています。近年は、農地が農地として維持されることで、農山村の良好な景観が維持されることや河川や地下水の水源としての役割も果たすことが認められるようになり、農地の維持は、農業以外の分野からも重要と認識されています。しかし、そうした農地も一たび担い手がいなくなり、雑草や樹木が繁茂する耕作放棄地となってしまうと、有害鳥獣のすみかや雑草被害の原因となったり、景観の悪化や土砂災害を招いたりするため、農地の管理が難しくなった場合は、後継者や認定農業者等、次の担い手に権利設定を行い、スムーズに引き続き有効活用をすることが重要となっています。しかしながら、現在はというと、農地の耕作放棄地化が進みつつある地域や農地の集積が困難な地域も見られます。農業者の高齢化による担い手の減少は、その大きな要因ですが、近年、農地の権利設定の困難さという要因も注目をされています。先日の新聞報道によると、昨年の国の調査で、登記名義人が死亡している農地が全国で47万ヘクタール、登記名義人の生死が不明で所有者不明のおそれがある農地が45万ヘクタール、合計93万ヘクタールに上ることが明らかになったとのことです。これは、日本の全農地面積の約2割に達しています。所有者不明の問題は、農地だけでなく、山林などにも及んでおり、それらの面積を合計すると、2016年の時点で九州の面積以上の土地が所有者不明で、2040年には、所有者不明土地の面積が北海道の面積に匹敵するとの調査結果も出ています。農地は、本来農業者の生活の根幹をなすもので、相続や売買の際には、当然登記が行われてきましたが、農業の採算性の低下などによる農地の資産価値の減少、都市部への人口流出により、土地持ち非農家や不在地主がふえた結果、登記のメリットより登記費用の負担を嫌がるようになり、登記を行わないケースがふえています。登記を行わなくても耕作は可能ですが、農地の売買や貸し借りなどの権利設定を行う際に障害となります。登記人が死亡している場合には、登記人の相続人の同意を得る必要がありますが、相続が何代にもわたると相続人がネズミ算式に増加し、同意取得の手間が膨大となり、農地の権利設定を諦めるケースもあるようです。私の地元でもこうした話はあり、権利設定ができないため、担い手が農地を借りたがらず、荒れるがまま放置されている農地もあると聞きます。先日の報道によると、国はこうした問題を解決するため、地権者から農地を預かり、担い手に再配分を行う農地中間管理機構、いわゆる農地バンクの機能を強化し、従来は制度の利用が困難だった登記人が死亡している未相続農地も簡易な手続で利用を可能とし、これにより国は、農地バンクを通じた担い手への農地の集積を進め、農業の競争力強化につなげていく方針とのことです。これが実現すれば、農地の権利設定を阻害する要因が一つ取り除かれることになり、農地の活用に弾みがつくものと考えます。しかし、単に農地バンクの利用を推進するだけでは、農地の活用にはつながらないとの指摘もあります。農地バンクに農地を預けようとする地権者は、農業からの引退を考えている場合が多く、そうした地権者の農地は、既に耕作放棄地化が進んでいる場合があるためです。一方で、農地バンクから農地を借りようとする担い手の側は、経営規模の拡大のための優良農地を求めており、耕作条件の悪い農地は敬遠するため、結果として供給される農地と担い手の希望との間でミスマッチが生じているとのことです。このままでは、条件の悪い農地が農地バンクに滞留し、制度の機能不全を招くおそれがあります。そのため、農地バンクの実効性を高めようとすれば、農地バンクから貸し出しされる農地を担い手が借りたくなるような農地に整備するなどし、このミスマッチを解消する必要があると言えます。このことは、同時に耕作放棄地の解消にもつながるため、中山間地域を多く抱え、今後担い手の高齢化が進むことで耕作放棄地が増加するおそれがある本市では、この点に特に留意して事業を推進していく必要があると考えます。そこで、農地の活用について3点お尋ねをいたします。国は、担い手に農地を集積し、農業の競争力を強化するために担い手への農地の集積率の目標を掲げ、農地バンクの機能強化に乗り出しています。農地バンクは、本市でも担い手への農地集積のために積極的に活用すべき制度であると考えます。 質問の1点目は、本市における農地バンクの活用実績と担い手への農地集積率についてお伺いいたします。また、それら数値をどのように評価しているのか、市の認識をお聞かせください。 次に、農地バンクの推進についてです。農地バンクの業務の多くは、市町村に委託されているため、窓口となる市町村の取り組みの差が、農地バンクの利用状況に大きく影響するとのことです。新制度を生かし、農地の集積につなげられるかどうかは、本市の取り組みにかかっていると言っても過言ではありません。そこで、質問の2点目は、本市は農地バンクの利用拡大に向けてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。 3点目は、農地の条件改善についてです。中山間地を多く抱える本市では、農地バンクに貸し出しされる農地の耕作条件が必ずしもよいものばかりではないと考えられます。全国的に農地バンクに貸し出される農地と担い手の希望とのミスマッチが問題となっており、農地バンクの機能を最大限発揮させるためには、農地バンクに貸し出される農地の耕作条件を改善する必要性が指摘されています。農地バンクの活用に向けて農地の耕作条件を改善して担い手が希望する優良農地を創出し、農業経営を次世代に継承する環境を整備することが本市の農業の持続的な発展に重要ではないでしょうか。そこで、質問の3点目は、市では農地バンクのさらなる活用に向けて農地の耕作条件改善にどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。 次に、有害鳥獣対策についてお尋ねをいたします。私の住む潮見地区では、イノシシに限らず猿、ハクビシンなど、多種の鳥獣が生息しており、常にかんきつ、野菜等への被害が危惧され、地元猟友会の方々に日々精力的な捕獲活動をお願いをしていますが、聞くところによれば、最近ではこれまで生息していなかった鹿まで目撃されたとのことで、まことに驚いております。また、興居島地区でも、これまで以上にイノシシによる樹園地の掘り起こしや足跡が多く見られるとのことで、その高い繁殖力を考えれば、島内全域に生息域が拡大し、イノシシ被害の深刻化が懸念されるため、一刻も早い対策が必要です。全国の農作物被害額は、ここ数年200億円前後で推移し、その7割がイノシシ、鹿などで、それらの鳥獣被害が広域化、深刻化していることから、国はイノシシ、鹿の生息頭数を半減させるため、抜本的な捕獲強化対策を策定し、市町村等の捕獲事業強化や捕獲従事者の育成、確保の取り組みを支援するなど、鳥獣対策を推進しているところです。また、鳥獣被害のある全国の各市町村では、鳥獣被害防止特措法に規定する被害防止計画を策定し、財政事情が厳しい中でも知恵と工夫により、計画に基づいたさまざまな対策に懸命に取り組み、被害軽減に努めております。そうした中、県内の被害状況に目を向けてみると、平成28年度の野生鳥獣による県全体の農作物被害額は4億3,640万円で、前年度から約13%ふえ、過去10年間で最多となっており、中でもイノシシによる果樹の被害が大きかったということでした。本市では、猟友会の捕獲による駆除、農家等の防護柵設置による防除、草刈り等による環境整備を3本柱とする有害鳥獣対策により、平成24年度まで増加傾向であった農作物の被害額が、平成25年度から減少傾向に転じるなど、一定の成果が出ていると聞いております。今後の被害増加を防ぐためにも、引き続き根気強く対策に取り組んでいくことが大切だと常に感じるところです。また、耕作放棄地の増加などを要因とし、野生鳥獣が生息域を広げようとしている状況で、限られた財源の中、市の責任のみで全ての地域に対応していくことは、現実的には非常に困難であり、各地域も主体的に鳥獣対策に取り組んでいくことが必要であると考えています。これまで本市では、中島地域や北条地域で市と地域住民が一体となり、協力しながら生息調査や共同柵設置等の被害防止環境整備に取り組み、先行して事業実施した中島地域では、イノシシ対策のための地元協議会も設立され、協議会を中心とした地域住民の協力体制の中で、狩猟者の増加や被害防止柵の設置、普及などの実績が上がっていると聞いております。今後もこうしたよい取り組み事例をその他地域にも波及させるなど、住民と一丸となって有害鳥獣対策に取り組んでいただきたいと思います。そこで、鳥獣対策について3点お尋ねをいたします。 まず、1点目は、本市のハクビシン対策についてであります。現在、本市では、イノシシ、猿、鹿、カラスを捕獲報償の対象とし、有害鳥獣の捕獲推進を図っていますが、市内農家の方からは、ハクビシンによる果樹被害への対策を望む声もあり、松山維新の会としても報償対象に加え、対策を強化することを求めてきました。平成30年度予算案には、ハクビシンを新たに捕獲報償の対象とするとあり、今後捕獲強化を図るものと思われますが、本市のハクビシンの被害防止への取り組みについてお伺いいたします。 2点目は、北条地域で実施した鳥獣対策の実績及び効果と今後の対応についてであります。北条地域では、さきの中島地域の成果を参考としながら、市と地域住民が協力して、平成27年度から28年度にかけ、被害防止環境整備に取り組みましたが、地元での鳥獣生息状況報告会などを通じ、地域ぐるみで被害防止に継続的に取り組む意識も醸成され、中島地域と同様に成果があらわれつつあると聞いております。そこで、その取り組み実績と効果がどのようなものか、また今後はどのように対応していくのか、お伺いいたします。 3点目は、本市の今後の鳥獣対策の取り組みについてであります。鳥獣対策は、イノシシ等の有害鳥獣と人間との我慢比べで、鳥獣被害を今後減少させていくためには、市主導の対策のみならず、農家、猟友会、農協などの関係者と連携・協力しながら、継続的かつ総合的に対策を進めていくことが必要と考えます。そこで、本市として今後どのように鳥獣対策に取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、空き家対策についてお尋ねをいたします。近年、長く放置され適切な管理が行われないことにより、防災・衛生・景観などの観点から地域の環境に悪影響を与えている空き家が増加し、社会問題の一つとして空き家問題が取り上げられるようになりました。平成25年に総務省統計局が実施した住宅・土地統計調査の結果では、日本の総住宅数は6,063万戸、うち空き家数は820万戸で、空き家率は過去最高となる13.5%、そして四国4県の空き家率が全国の2位から5位を占め、特に愛媛県の空き家率は16.9%と、全国で2番目に高いという衝撃的な内容が公表をされました。また、本市の空き家率も16%と、中核市の中でも高い数字であり、これは全住宅の6戸に一戸が空き家という状況を示しており、ある民間の統計データによると、2033年には空き家数が2,167万戸、何と全住宅の3戸に一戸が空き家となってしまうとの予想があり、研究者の間では、空き家率が30%を超えれば、空き家が放火などの犯罪の温床となり、まちが荒れ、都市環境は悪化し、居住快適性が著しく低下すると言われております。こうした事態を受け、一部の自治体では、独自に空き家条例を定め対処するなどしていましたが、指導等の限界もありました。そのような中、平成27年5月に空家等対策特別措置法が施行され、法では、空き家とは何かを定義し、防災・衛生・環境などの観点から悪影響を及ぼすおそれがあると判断されると、その建物は特定空家と判定されます。特定空家に判定されると、市区町村は空き家の立入調査を実施したり、修繕や撤去を命令し、命令に従わない場合には過料を科せるほか、行政代執行を行い、その費用を所有者に請求することができるなどの権限が付与され、また空き家の所有者特定調査では、住基情報などに加え、固定資産課税台帳情報が活用できるようになりました。一方、同法では、空き家の有効活用等を促進するため、各自治体が空家等対策計画を策定し、空き家対策に取り組むこととされており、本市の議会等でもその対策計画の策定状況等について確認がなされてきました。また、昨年末には、国土交通省が行った空家法の施行状況等に関する調査の結果が公表され、空家法に基づく空家等対策計画は、法施行後2年半で全市区町村の25.7%447団体が策定済みと示され、特に愛媛県では、20ある市町のうち、19市町が今年度中に策定見込みであることが調査結果で判明し、本市の進捗状況を心配していたところ、本市の対策計画も今年度末の公表に向けてパブリックコメントが実施されていることを知り、計画を確認させていただきました。計画には、市内全域の建物約24万棟を対象に実施した空き家実施調査や空き家等と思われる建物を対象に、所有者の意向を調査した所有者意向調査の結果も記載されていましたので、地元である潮見地区の空き家の実態がどのような状態にあるのか気になり、空き家実態調査の結果を確認しました。当該調査では、地元潮見地区は北部エリアに含まれており、本エリアでは、空き家数は682棟、空き家率は2.7%と、市内の中では比較的値の小さいエリアではありましたが、不良度の高い空き家は88棟あることがわかりました。こうして空き家の状況が詳細に数値化されたことにより、改めて全市的な老朽空き家への対応が必要であり、不良度が高い空き家の中でも、周囲に悪影響を及ぼすおそれがある特定空家については、市民の安全・安心を確保する上で早急な対応が必要であると感じたところです。そこで、現在本市において特定空家は何棟あるのか。また、これらの特定空家への対応状況をあわせてお伺いいたします。 次に、空家等対策計画についてですが、空家法では、計画の策定、変更、実施に関する協議を行う場合、有識者等を中心に構成する協議会を組織することができるとされています。また、国が空家法に基づき定めた基本指針では、計画に定めるべき事項が示されており、計画期間や調査に関する事項などの基本的な事項に加え、空き家や跡地の活用促進や空き家等に関する相談への対応等の事項についても定めることとされており、計画策定に当たっては、学識経験者や関係団体が持つ専門的な知見や創意工夫が必要であると考えます。そこで、本市計画の策定過程において、どのような方法で学識経験者や関係団体、市民等の意見を反映させたのか、お伺いいたします。 空家法では、空き家対策の基本的な考え方として、国や県、市町村の役割について明記する一方、所有者等に第一義的な管理責任があるともしました。確かに見た目は老朽化した空き家であっても、あくまで個人の財産であり、個人の財産である以上、所有者等が適切に管理する義務があるとされていますが、今回実施したアンケート調査では、所有している空き家を売りたい、貸したいと思っている、あるいは売ろう、貸そうとしたがうまくいっていないと回答した人が約27%おり、所有者等での自主的解決を図るには、売りたい、貸したいと考える所有者等を適切にサポートすることが重要であると思われます。そこで、売りたい、貸したいと考えている空き家の活用に前向きな所有者等に対するサポートとして相談会の開催などが考えられますが、どのようなサポートを考えているのか、お伺いいたします。 今回策定した計画には、先ほど紹介したアンケート調査の結果や分析が掲載されており、特に私が注目したのは、当該アンケート調査に回答した空き家所有者の約84%は60歳以上の高齢者であること、そして空き家の維持管理で困っていることについて問われた質問で、金銭的負担が大きいと答えた回答者が最も多かったという点です。所有者が高齢となれば老人ホームなどの高齢者住宅に転居することで空き家との距離が離れ、管理の機会が減ったり、賃貸住宅として活用しようと片づけを始めても、昔の思い出の品や仏壇などの整理が進まない、いずれは自宅に帰ろうと思っていたが、認知症などの疾病により利活用の判断ができなくなるなど、高齢者が所有する空き家の適切な管理が困難になることが考えられます。また、高齢者の中には、年金等でぎりぎりの生活を送っている方も数多くいるものと思われ、生活費に加えて空き家の維持管理費を捻出することは難しい場合もあると考えられます。このような場合、最も有効で効果的な手段は補助制度であると思い、他市の状況等を調べてみますと、空き家関連の補助制度を設け、運用している自治体がたくさん確認できました。本市でも空家等対策計画の策定に先行して、従来のリフォーム補助制度に空き家対策などの住宅施策の要素を加えたわが家のリフォーム応援事業が昨年度から実施され、2年続けて好評の中、終了したと聞いております。市民の皆様にも受け入れられ、幅広く定着したものと考えられます。私は、このわが家のリフォーム応援事業については平成28年3月議会の代表質問の中で、臨時的な経済対策から中期的な視点で住宅施策への転換を図った上で、既存の住宅を大切に使うという機運を醸成し、顕在化している空き家の問題の解決に向けた取り組みとしたことを高く評価したところです。このような観点から、空き家対策に対する補助については、既存のわが家のリフォーム応援事業に加え、危険な老朽空き家の除去に際して交付する新たな補助制度を空家等対策計画策定を踏まえて創設することが望ましいと考えています。そこで、今後の空き家対策に関連する市民向けの補助等をどのように考えているのか、お伺いいたします。 次に、環境モデル都市まつやまとしての取り組みについてお尋ねをいたします。我が国では、平成20年、今から10年前をピークに人口が減少に転じ、ことし1月の総人口は概算で1億2,659万人、前年同月と比較して23万人の減少となっており、そのうち65歳以上の人口は3,523万人で、高齢化率に示す割合は27.8%を占め、実に4人に一人が高齢者となっている現状であります。このような人口減少社会は、消費が冷え込み、経済力の低下を招き、経済社会に対して大きな影響を与えるものと考えられます。この数年よく耳にします地方創生は、人口減少に歯どめをかけるとともに、東京への一極集中を是正していくことで、少子高齢化に的確に対応し、地域においても住みやすい環境を確保して、将来にわたって活力ある社会を維持していくことを目指していくものであります。国では、昨年末に地方創生を一層推進していくため、まち・ひと・しごと創生総合戦略改訂版を閣議決定し、必要な見直しを行うことで、引き続き各地域と一体となって地方創生の深化に向けた施策を着実に進めていくことができるように4つの基本目標を策定しています。これらの基本目標は、関係省庁が一体となって準備した施策が個別に用意されており、中には温室効果ガスの排出を削減する地域づくりや地方公共団体における持続可能な開発目標の達成に向けた取り組みの推進といった、本市が選定されている環境モデル都市ならではの施策も用意されており、地方創生の主役である一都市として、環境面からも大きく地方創生に貢献できるものと考えられます。そこで、まず初めに、環境モデル都市まつやまとしての取り組みについてお尋ねをいたします。 本市では、平成25年3月に全国で23都市が選定されている環境モデル都市となり、温室効果ガスの大幅な削減など、低炭素社会の実現に向け、高い目標を掲げて先駆的な取り組みにチャレンジしてきたものと思います。その中でもごみ減量への取り組みでは、これまで1人1日当たりのごみ排出量が、50万人以上の都市の中で9年連続最少といった輝かしい記録を持っており、昨年度の発表では、八王子市に第1位を譲ってはいるものの、今もなおごみ排出量の少なさを維持していることは、全国に誇れます。この結果は、市民の皆さんの協力なくしては決して実現することができない取り組みの一つで、市民の皆さん一人一人こそが誇りに思っていただき、胸を張って語っていただきたいと思っております。ところで、最近市長は、あらゆるところで3010運動といった発言をされていますが、宴席の場では、最初の30分と最後の10分は自席で料理を楽しみましょうといった取り組みで、食べ残しが減ることが、いわゆる食品ロスの削減につながり、結果としてごみの減少にもつながります。また、この運動を通じて、食べ残しをなくすことを市民の皆さんが意識していただくことは、食育の観点からも非常に意義があるものと考えます。先ほども全国で最少記録を競い合っているごみ排出量について触れましたが、例年年度末の時期には、国からごみ排出量等について全国の状況が発表されており、市長も結果発表を心待ちにしているのではないかと思います。そこで、まず1点目のごみ減量への取り組みについてお尋ねをいたします。 3010運動については、これまでも広く市民の皆さんに知っていただくために周知啓発を進めてこられたと思いますが、食品ロス削減に向けた3010運動の取り組み内容とその効果についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。 また、昨年の発表では、全国第2位の少なさであった本市のごみ排出量について、最近の推移並びに今年度第1位に返り咲く見込み等所見についてお伺いいたします。 続いて、環境モデル都市まつやまの取り組みの2点目として、スマートシティーの推進についてお尋ねいたします。スマートシティーとは、私の認識では、IoTと呼ばれるあらゆるものがインターネットにつながる仕組みやAIと言われる人工知能等の先端技術を活用してエネルギー分野だけではなく、交通システムや生活インフラの分野などにも用いることでエネルギーの効率的な利用を図り、生活の質を向上させるなど、環境だけではなく、経済や社会の観点も取り入れた取り組みを推進していく都市ではないかと考えています。例えばエネルギー分野では、再生可能エネルギーの活用、交通システムの分野では、電気自動車用の充電設備、生活インフラ分野では、省エネ対応の電気製品や蓄電池の利用などの取り組みがあります。本市では、このような取り組みの中でも太陽光発電を普及していくための補助金制度の創設や市有施設に太陽光発電システムを設置することで再生可能エネルギーを活用するなど、一部は以前から取り組まれていることもあろうかと思います。そして、今後もうまくエネルギーを活用できるまち、スマートシティーとしての進化が期待されるところですが、それには行政だけではなく、民間企業や大学と協働で取り組むことが必要不可欠であります。本市では、スマートシティーの推進に向け、来年度からエネルギーの効率的な利用を促進し、温室効果ガスの削減を図っていくために太陽光発電システムの設置者が、ZEHと言われるゼロエネルギー住宅を設置した場合、新たに補助金を増額して支給する制度を予定しているとのことですが、ゼロエネルギー住宅設置者への補助金上乗せ制度の概要と今後この制度をどのようにして市民の皆さん等にお知らせをしていくのか、周知方法についてお伺いいたします。 また、昨年度から今年度にかけて中島地域においてBEMSと言われるビル・エネルギー・マネジメント・システムや太陽光発電を遠隔で監視することができる先端技術を駆使したシステムを導入されておりますが、これら中島地域に導入したBEMSや太陽光発電の遠隔監視システムの効果及び今後の展開についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 最後に、カラスのふん害やごみ散乱への対策についてお尋ねいたします。市長は、就任以来、市民の皆さんと直接対話が行えるタウンミーティングを積極的に開催しており、今やその回数は100回を超えたと聞いております。そして皆さんから頂戴した意見や提言については、できる限り対応する、市政に反映させるとの真摯な姿勢で取り組んでいます。平成30年度当初予算案にもタウンミーティング対応事業として、子育て支援から地域の防災支援など、幅広い分野から29もの事業予算が計上されています。その中で今回私が質問しますのは、カラス対策についてであります。例年11月から2月ごろにかけて松山市役所の周辺では、夕刻に空を黒く染めるほど大きな鳴き声を上げて多くのカラスが飛んでおり、また周辺のビルや電線にはカラスが整列してとまっている光景を以前に比べ多く見かける気がしており、この一、二年前と比較して、カラスの飛来数もふえているのではないかと感じております。現実に地域のごみ集積場所では、カラスによってごみが散乱している光景を目にするとともに、特に二番町、三番町の市内中心街では、飲食店等から排出された一部のごみ置き場では、ごみの散乱が特にひどいように聞き及んでおります。こうしたごみの散乱とともに、さらに深刻な問題は、皆さんも目にされたこともあろうかと思いますが、市内中心街において電柱や電線の下の道路や歩道などが一面ふんで白く汚れており、まさしくカラスによるふん害であり、近年特にひどくなっているように感じます。市民の皆さんからよく御意見をお伺いしますが、特に飲食店にとっては衛生上、営業にも支障が出かねないものであり、どうしたものかと考えさせられ、難しい問題であります。これらに関して、市民の皆さんからも本市に対し苦情が寄せられているものと思いますが、現在苦情等に対してどのように対応されているのか、状況をお聞かせください。 また、来年度は鷹匠を招聘し、実験的にカラスの追い払いを行うことを考えているようですが、他の自治体で実施された報道によれば、効果があるように聞いたり、効果が一時的であるようにも聞いたりしますが、鷹匠の活用方法等、今後の対応策について実際のところどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 以上で、私の代表質問を終わります。
    栗原久子議長 これより答弁を求めます。野志市長。 〔野志克仁市長登壇〕 ◎野志克仁市長 寺井議員に、私からは有害鳥獣対策についてお答えします。 本市では、鳥獣の農作物被害が島嶼部や中山間地域を中心に広がっています。イノシシなどの鳥獣被害は、農家から収穫の喜びや販売収益を奪い、営農意欲を低下させ、耕作放棄地をふやす原因にもなるため、有害鳥獣対策は本市の農業振興に必要で重要な施策と考えております。そのため、私は市長に就任して以来、さまざまな工夫をしながら鳥獣対策に取り組んでまいりました。平成22年度は、防護柵の設置助成を開始し、その総延長は平成28年度末現在で555キロメートルにもなります。平成23年度は、狩猟免許の取得支援を開始し、平成25年度は、迅速で重点的に対策を進めるため鳥獣対策担当課長を配置しました。さらに、平成26年度は、鹿とカラスを捕獲報償の対象に加えるほか、猿対策にモンキードッグを導入し、平成27年度には、感知センサーつき箱わなの設置を開始しました。また、平成25年度から平成28年度にかけて中島や北条地域で地域の方と協働し、生息を調査したり、鳥獣と人とがすみ分けるために共同柵を設置したり、地域の状況に応じた効果的な対策も進めてきました。これからも鳥獣被害を減少させるため全力で取り組んでいきたいと考えております。 そこで、まず本市のハクビシン対策については、ハクビシンは島嶼部を除く市内全域に生息し、中山間地域を中心にブドウやかんきつなどの果樹に被害を与えているため、猟友会の各支部に捕獲用の小型箱わなを計23基貸し出しています。しかし、近年ハクビシンの被害額は、イノシシ、ヒヨドリ、猿に次いで多く、増加傾向にもあるため、平成30年度は、ハクビシンを新たに捕獲報償の対象に加え、捕獲用の箱わなを増設する予定です。今後も各猟友会や農協などで組織する松山市鳥獣被害防止対策協議会を中心に捕獲を強化し、ハクビシンの農作物被害を抑制したいと考えております。 次に、北条地域で実施した有害鳥獣対策の実績と効果及び今後の対応は、まず実績と効果は、本市は北条地域の河野高山集落と大浦集落で、平成27年度に愛媛大学農学部と連携して鳥獣の生息状況を調査し、平成28年度にはその結果をもとに、農家の皆さんが協力しながら耕作放棄地の草刈りや伐採のほか、侵入経路を遮断する防護柵の設置など、環境を整備しました。設置した防護柵の全長は、どちらの集落もそれぞれ1.8キロメートルにもなり、日々農家の皆さんで補修、点検や周辺の草刈りなどの維持管理をしています。この防護柵でイノシシなどが集落に侵入するのを防ぎ、農地の掘り返しや農作物被害が減少するなどの効果があらわれています。今後は、定期的に集落へ訪問し、現地調査で有害鳥獣の出没や被害の状況を把握するとともに、各集落の方々の声に耳を傾けながら継続的に支援していきたいと考えています。 最後に、今後の有害鳥獣対策の取り組みは、これまでの中島や北条地域での環境整備などの取り組みを継承し、発展させるため、今年度新たに興居島や伊台実川集落で、愛媛大学農学部や農協なども参加し、鳥獣に強い集落づくり支援モデル事業を行っています。この事業では、集落内に生息調査カメラを設置し、鳥獣の生息状況を把握した上で、地域の方が主体で被害防止検討会を開催し、今後の集落での鳥獣対策の取り組み内容について集落独自の鳥獣被害防止計画を策定します。来年度以降各集落は、策定した被害防止計画に基づき、引き続き市や愛媛大学などの支援を受けながら共同で防護柵を設置するほか、住民みずからの発案で、さまざまな活動を地域主導で進めていく予定です。本市は、今後も駆除・防除・環境整備を柱に鳥獣被害防止への地域全体の意識を高め、集落主体の被害防止活動を進めるなど、地域力に主眼を置いた対策を実施し、農家の皆さんが愛情込めて育てた農作物を有害鳥獣から守っていきたいと考えております。 そのほかの質問につきましては、関係理事者からお答えいたしますので、よろしくお願いをいたします。 ○栗原久子議長 西泉副市長。 〔西泉彰雄副市長登壇〕 ◎西泉彰雄副市長 寺井議員に、環境モデル都市まつやまとしての取り組みについてお答えします。 まず、食品ロス削減に向けた3010運動の取り組み内容とその効果についてですが、3010運動の実践を広く呼びかけていくため、特に食品ロスの増加が懸念された国体や飛鳥乃湯泉オープンの時期には本市を訪れた皆さんへ、忘年会の時期には街頭で外食に向かう皆さんへ、本市オリジナルの推進ロゴを使用したチラシや特製のうちわなどを配布しました。また、本市と協定を締結している飲食店情報サイト運営会社ぐるなびと連携し、3010運動協賛店を募り、市ホームページで紹介するなど、積極的なPR活動を行いました。こうした取り組みの効果として、先日の環境フェアでのアンケート調査では、約4割の方が3010運動を実践しているもしくは知っているとの回答を得たほか、今年度の事業系ごみ排出量の速報値は、前年度比で約4%減少しています。今後もより多くの皆様に実践してもらえるよう呼びかけてまいります。 また、本市のごみ排出量の最近の推移並びに第1位に返り咲く見込みについては、現在国へ提出し集計中の平成28年度の本市のごみ排出量は、1人1日当たり789.3グラムで、市民の皆さんのさらなる取り組みにより前年度比マイナス28.2グラムと大きく減量できています。この結果は、これは平成27年度の数値によるものですが、前回1位であった八王子市の815.3グラムを26グラム下回っており、1位への返り咲きも十分期待できる数値ではないかと考えています。 次に、ゼロエネルギー住宅設置者への補助金上乗せ制度の概要と周知方法についてですが、本市では、環境モデル都市アクションプランの柱として、太陽光エネルギーの普及を目指すサンシャインプロジェクトを推進していますが、近年は売電価格の低下から、太陽光発電システムの設置件数が減少傾向となっています。そのため、より一層の発電量の増加とさらなる設置推進を目指し、来年度から断熱性能の向上等により、エネルギー消費量の収支を実質ゼロ以下とすることを目指した住宅、いわゆるZEHに太陽光発電を設置される方には新たに補助額を上乗せするなど、補助制度を見直すことにしています。具体的には、補助額を出力1キロワット当たり3万6,000円から2万円へと減額する一方で、補助対象の出力上限を3キロワットから5キロワットまで引き上げるとともに、ZEHの場合、一律10万円を上乗せいたします。制度の見直し内容については、市民や補助申請の代行を行う建築、電気等施工業者に対し、本市広報紙やホームページのほか、民間情報誌の活用などにより広く周知を図ってまいります。 また、中島地域に導入したBEMSや太陽光発電遠隔監視システムの効果及び今後の展開については、BEMSは使用電力の急な上昇をアラームで警告し、フロア単位で照明・空調設備を管理するためのシステムです。中島支所で運用を開始した昨年4月以降、合計10回の警告アラームが作動し、より無駄のない省エネ行動をとった結果、前年度に比べ使用電力のピークが約10%以上下がっており、この状況を継続していくことで、電力量や電気料金の削減を図ることができます。また、太陽光発電遠隔監視システムは、発電状況をリアルタイムに把握し、パネルのふぐあいを早期発見することで、安定した発電に貢献するもので、今月末には、中島総合文化センターへの設置工事が完了する予定です。今後は、将来的な両システムの普及を目指し、これらの技術の有用性を実証していく中で、得られる効果やノウハウを環境教育など、あらゆる機会を活用し市民に広く周知することで、スマートシティーの推進に取り組んでいきたいと考えています。以上でございます。 ○栗原久子議長 松本環境部長。 〔松本善雄環境部長登壇〕 ◎松本善雄環境部長 寺井議員に、カラスのふん害やごみ散乱への対策についてお答えします。 まず、苦情等への対応状況についてですが、本市では、以前からカラス被害に関する苦情が寄せられており、毎週末繁華街を早朝パトロールし、ごみの散乱があれば簡易な清掃を行うとともに、ごみの排出方法に問題のある店舗等については、直接注意喚起しています。また、道路等のふん害については、その周辺も含めて被害調査を行い、カラスが電線にとまりにくくするカバー等の設置を電線所有者に要請し、被害の未然防止を図っています。 次に、鷹匠の活用方法等、今後の対応についてですが、特に冬季は、渡り鳥を含めた多くのカラスが比較的温暖な市内中心部へ飛来し、近年その数はふえる傾向にあります。そのため、他の自治体等での事例も踏まえ、実験的にタカ等の猛禽類を活用したカラスの追い払いを行いたいと考えています。実施に際しては、鳥類の専門家や鷹匠に御意見をいただきながら、より効果的な追い払い方法を検討することにしています。そのほか、早朝パトロールの強化やカラスの嫌がるフラッシュの照射など、定着防止に向けた対策に取り組んでいきたいと考えています。以上です。 ○栗原久子議長 川口都市整備部長。 〔川口 学都市整備部長登壇〕 ◎川口学都市整備部長 寺井議員に、空き家対策についてお答えします。 まず、特定空家の棟数及び対応状況についてですが、本市では、市民からの通報や空き家調査の結果等をもとに、放置すれば倒壊や著しく景観を損なうほか、衛生面の悪化が心配される空き家について、有識者等で組織する松山市特定空家等審議会からの答申を受け、これまでに4棟を特定空家として判定しています。これらへの対応状況については、4棟のうち2棟に対し、空家法第14条に基づく除却や改善を促すための勧告を、残り2棟には助言・指導を行いました。これまでに勧告を行った2棟のうち1棟は、勧告に従い、傾いたブロック塀を撤去したことで周囲への危険が回避され、残る1棟についても、現在所有者との間で解体に向けた協議が進められています。 次に、空家等対策計画の策定過程における意見の反映についてですが、本市では計画を策定するに当たり、学識経験者、不動産や福祉、PTA関係者のほか、公募市民、法務局職員など、計19名で組織する松山市空家等対策協議会の中で、広く有識者からの意見を聴取し、計画案を取りまとめました。今後は、パブリックコメントの意見も反映し、最終案を策定することとしています。 次に、空き家所有者へのサポートについてですが、アンケート調査等で有効活用に前向きな所有者の意識や課題が明らかになったことから、空き家の流通を一層促進するための空き家バンクの構築を目指すとともに、関係団体と連携した合同の説明会等を開催し、さまざまな相談に対応するほか、高齢等の理由により適切な管理が困難となった所有者へのサポートとして、維持管理を代行できる事業者等の拡充や希望者への情報提供を行うことで空き家の適切な管理や有効活用につなげたいと考えています。 最後に、空き家対策に関連する市民向けの補助等についてですが、現在本市では、住宅のリノベーション補助など、空き家対策を盛り込んだわが家のリフォーム応援事業を実施し、空き家の発生を抑制する取り組みを進めています。また、危険な空き家の解体補助についても、現在国において新たな制度設計を検討している状況が見受けられますので、これらの状況を注視していくとともに、他都市の事例等も参考に調査・検討を進めていきたいと考えています。以上でございます。 ○栗原久子議長 中田農林水産担当部長。 〔中田忠徳農林水産担当部長登壇〕 ◎中田忠徳農林水産担当部長 寺井議員に、農地の活用についてお答えします。 まず、本市における農地バンクの活用実績についてですが、農地中間管理機構、いわゆる農地バンクが県に設置された平成26年度から平成29年12月までの農地バンクの利用件数は101件、集積した面積は103ヘクタールで、担い手への農地の集積率は、平成28年度末時点で30.4%となっています。また、その評価についてですが、本市の農地バンク活用実績は、利用件数、面積ともに県内1位で、中山間地域にも広がりを見せています。特に農地の集積が困難とされる中山間地域での取り組みと実績は、国により優良事例として全国に紹介されるなど、本市の農地バンク活用の取り組みは着実に成果を上げています。また、農地の集積率は、県内平均の28.4%をやや上回っている状況ですが、毎年1%以上増加していることから、本市が農業経営基盤強化促進法の基本構想で定める平成36年までの集積目標40%の達成は、可能であると考えています。 次に、農地バンクの利用拡大に向けた取り組みについてですが、本市は、農地バンクを担い手への農地集積のかなめとして位置づけており、農地バンクと業務受託契約を締結し、制度の利用拡大に向けJA等の関係機関と連携して、集落別の説明会や全担い手への資料配布など、制度の周知を図ってきました。特に本市が作成したパンフレットは、利用者目線でわかりやすいと関係者から高い評価を得ており、県内他市町でも配布されたほか、県外の自治体関係者からも使用許諾の申し出があるなど、制度の周知に効果をもたらしています。さらに、今年度から農地集積の加速化のため、農林水産課に専任の農地集積支援員を置き、窓口体制を強化していますが、今国会で審議予定の改正農業経営基盤強化促進法が成立し、所有者の一部が不明の農地でも長期間の権利設定が可能となれば、農地バンクの利便性が向上することから、今後は新たな仕組みも最大限活用しながら、農地バンクの利用拡大に取り組んでいきたいと考えています。 最後に、耕作条件改善の取り組みについてですが、これまで本市では、農道や水路などの基盤整備事業や耕作放棄地再生利用緊急対策事業等により、農地の耕作条件改善に取り組んできました。しかし、基盤整備には、関係者による負担金の拠出が伴うため、農地バンクを利用する地権者には負担となって整備が進まない事例もあり、農地を集積する上で障害の一つとなっていました。そこで本市では、農地の集積を加速化するため、平成30年度から地権者の負担金なしで農地の基盤整備を行う国の農地中間管理機構関連農地整備事業に県と連携しながら取り組むこととし、今議会に関連予算と必要な条例改正案を提出しています。今後も一層の農地の有効活用に向け、関係機関との連携を強化しながら、農地バンクのさらなる利用拡大による農地の集積を進め、優良農地を将来の世代につないでいきたいと考えています。以上で、答弁を終わります。 ○栗原久子議長 以上で、答弁は終わりました。 以上で、寺井議員の代表質問を終わります。 これで本日の代表質問は終わりました。   ──────────────── ○栗原久子議長 以上で、日程は全部終了いたしました。 あすは定刻から会議を開きます。   ──────────────── ○栗原久子議長 本日は、これをもちまして散会いたします。       午後2時6分散会  ───────────────────────────────────────────    地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。                      松山市議会 議  長  栗 原 久 子                            議  員  清 水 尚 美                            議  員  吉 冨 健 一...